遺品整理業者とは？

大切な方が亡くなられた後、その方が使用していたお部屋や私物を整理し、不用品を処分する必要があります。しかし、遺品整理の具体的な作業内容や行政手続きについて何から始めれば良いかわからない方が多いでしょう。そんな時に頼りになるのが「遺品整理業者」です。遺品整理業者は、お部屋の片付け、不用品の処分、行政手続きなど、さまざまな作業を代行します。では、遺品整理業者のサービス内容を詳しく見ていきましょう。

相続関係の手続き・遺品の供養

遺品整理には相続が関わるため、相続人との間でトラブルを避けるためにも、個人の独断で進めるべきではありません。遺言状の確認や不動産の相続など、素人には難しい手続きも多く発生します。遺品整理業者は、これらの手続きを代行し、法律に則って遺言状の確認や相続手続きを行います。また、宗教・宗派によっては遺品の供養やお焚き上げが必要になることも。遺品整理業者は、遺品の供養・お焚き上げの代行や、適切な業者の紹介も行います。

大量の不用品処分

遺品整理では、形見や思い出の品として残す物もありますが、大量の不用品が発生します。故人が一人暮らしをされていた場合、一軒家全体の片付けが必要になることも少なくありません。忙しい日常や遠方の居住地から片付けを進めるのは困難です。遺品整理業者に依頼すれば、大切な物と不用品の仕分けから、回収・処分までを任せることができます。遺族だけで数日から数週間かかる作業も、業者に依頼すれば数時間から1日で完了します。

ヒアリング・提案

遺品整理業者は、作業前にお客様のご要望をヒアリングし、代行して欲しい作業や残す物、捨てる物、作業日程や予算などを詳細に打ち合わせます。お客様の要望に応えるだけでなく、遺品整理のプロとして効率的な進め方やおすすめの作業日程をご提案します。

アフターフォロー

遺品整理は相続手続きや遺品供養、お部屋の片付けで終わりではありません。名義変更や空き家の処分が必要になる場合もあります。遺品整理業者によっては、作業完了後もアフターフォローを実施し、お客様のサポートを続ける業者もあります。特に高価な遺品や不動産の相続の場合は、金銭トラブルが起こりやすいため、アフターフォローが充実している業者を選ぶと安心です。

遺品整理はいつやる？

遺品整理の時期に明確な決まりはありませんが、早めに作業を開始することで相続や金銭面でのトラブルを避けやすくなります。時期の目安として、仏教の法要時期と物件の種類について解説します。

仏教の法要時期

法要時期に遺品整理を行うと、親戚が集まりやすく、全員の同意を得ながら作業を進めやすくなります。以下の3つの法要時期に分けて解説します。

1. 7日目の初七日

初七日は故人が三途の川のほとりに到着する日とされています。この日に遺品整理を行うと、新しい世界へ旅立つ故人への供養と考えられます。

2. 49日目の四十九日

四十九日は故人が来世へと旅立つ日とされています。四十九日までに遺品整理を済ませるのが理想です。この時期に形見分けを行うことが一般的で、遺族の気持ちの整理がつきやすい時期とされています。

3. 1年後の一周忌

一周忌は四十九日後に親戚が集まるタイミングですが、相続税の申告期限が10ヶ月以内と決まっているため、遺品整理は一周忌前に済ませることをおすすめします。

物件の種類

故人が一人暮らしをしていた場合、物件の種類によって適切なタイミングが変わります。賃貸物件と持ち家の場合で分けて説明します。

1. 賃貸物件

賃貸物件では契約が自動消滅しないため、無駄な費用を発生させないために早急に遺品整理を行うことが推奨されます。物件の契約期間により退去期限が定められているので、管理者や大家さんに確認してください。

2. 持ち家

持ち家では退去の制限はありませんが、防犯や害虫発生、火災リスクを考慮すると早めの遺品整理が望ましいです。余裕を持ってスケジュールを立て、親戚が集まりやすい日に遺品整理を行うと良いでしょう。

先延ばしで発生する問題

遺品整理を先延ばしにすることで以下のリスクが発生します。

• 家賃、光熱費、携帯代などの支払いが増える
• 相続税の申告期限を過ぎて延滞料金が発生する
• 空き家状態が長くなると不法侵入や火災のリスクが高まる
• 親戚が勝手に遺品を持ち出す
• 遺品整理のやる気が次第に薄れる

特にデジタル遺品に関するトラブルが増加しており、個人情報の流出や有料サイトの継続課金などのリスクがあります。早めの処分・契約解除が求められます。

遺品整理の料金相場と注意点

遺品整理業者に依頼する際の費用について、間取りごとの料金相場を参考にしてみてください。

間取り別料金相場

上記の料金には以下の作業が含まれます（業者によって異なる場合があります）。

• 不用品の回収・処分
• 残す物と捨てる物の仕分け
• 貴重品の捜索
• 買取品の査定
• 供養・お焚き上げ、もしくは業者の紹介
• 相続手続きのサポート
• 作業後の清掃

料金が高額になるケース

以下のような場合、料金が高額になる傾向があります。

• ゴミ屋敷のように不用品の量が多い
• 水回りや床、壁などのハウスクリーニングが必要
• 孤独死などにより特殊清掃が必要
• 階段のないマンションの高層階
• 建物の近くに駐車スペースがない

これらの料金相場はあくまでも目安です。具体的な料金を知りたい場合は、見積もりを依頼しましょう。

遺品整理のトラブル事例と優良業者の見分け方

ほとんどの遺品整理業者は適切な作業を行いますが、悪質業者によるトラブルもあります。以下のようなトラブルが報告されています。

• 作業の放置
• 不当な解約料の請求
• 高額な作業料の請求
• 勝手に物を処分
• 貴金属の紛失

実際のトラブル事例を知っておくことで、事前に対策を講じることができます。各トラブルの詳細を把握し、信頼できる業者を選びましょう。

よくあるトラブル事例

作業が始まらず放置される

国民生活センターには、契約後に作業が始まらないというトラブルの相談が寄せられています。「今日契約すれば安くなる」と急かされ、前金を支払ったにも関わらず、業者に連絡しても「作業日は未定」「来週末ではどうか」と放置されるケースが多発しています。こうしたトラブルを防ぐには、契約前に内容をしっかり確認し、安易に業者の口車に乗らないことが重要です。

高額な解約料を請求される

費用の安い業者を見つけて契約解除を申し出た際、高額な解約料を請求されるトラブルも報告されています。多くの場合、事前に解約料の説明がないため、契約前に解約条件と金額を確認しておきましょう。

高額作業料を請求される

遺品整理の料金相場を大幅に超える高額な料金を請求する悪質業者も存在します。本来不要な作業を必要だと偽って追加料金を請求されることも少なくありません。適正価格でサービスを受けるためには、複数の業者から見積もりを取って比較検討することが大切です。

遺品を勝手に処分される

大切な遺品が業者に勝手に処分されるトラブルも発生しています。アクセサリーや通帳、アルバムなどの貴重品は、事前にスタッフに伝えておきましょう。

貴金属が紛失する

極稀にですが、貴金属や宝石、ブランド品が勝手に持ち出されることもあります。心配な場合は、作業に立ち会うようにしましょう。

優良な遺品整理業者の見分け方

遺品整理業者を選ぶ際には、以下のポイントを参考にしてください。

遺品整理士が在籍している

遺品整理士は「一般社団法人遺品整理士認定協会」が認証する資格で、遺品の取り扱いや法規制の知識を有しています。資格を持つスタッフがいる業者は信頼性が高いです。

一般廃棄物収集運搬業の許可業者と提携している

廃棄物の回収を依頼する場合、許可業者と提携しているか確認しましょう。無許可の業者が家庭廃棄物を運搬することは違法です。

遺品整理の実績が豊富

実績の多い業者は、専門知識と経験が豊富で安心です。ホームページや口コミで実績を確認しましょう。

口コミの評判が良い

ネットやSNSで口コミを確認し、評判が良い業者を選びましょう。写真付きや詳細な口コミは信頼性が高いです。

見積もり内容が明確に記載されている

見積もり書には、作業人数、内容、回収品、残す物などが詳細に記載されていることが重要です。「遺品整理一式」など曖昧な表記の場合は、具体的な内容を確認しましょう。

これらのポイントを踏まえて、信頼できる遺品整理業者を選び、トラブルを未然に防ぎましょう。